遺言がある場合の相続の流れ

1 遺言の調査

遺言の有無を確認するための調査を行う必要があります。自筆証書遺言については,被相続人の遺品から探し出さなければなりませんが,公正証書遺言と秘密証書遺言については,昭和64年1月1日以降に作成されたものであれば,遺言検索システムを利用して発見できます。

遺言検索システムを利用したい方は,お近くの公証人役場に問い合わせを行ってみて下さい。

遺言がある場合の相続の流れ

2 遺言の検認

公正証書遺言以外の遺言については,遺言の検認をしなければなりません。遺言の検認は,家庭裁判所で行うことになりますので,家庭裁判所に遺言の検認の申立てを行いましょう。公正証書遺言以外の遺言は,遺言の検認をする前に,勝手に中身を見ないように注意して下さい。

遺言がある場合の相続の流れ

3 遺産分割協議

遺言の内容を確認します。遺言の内容によって,相続人に直接権利移転する場合と遺産分割協議,調停または審判が必要になる場合に分かれます。遺言の内容によって,変化しますので,注意が必要です。

大雑把に言えば,遺言の内容について,誰がどの財産を取得するかの特定が十分になされている表現になっていれば,遺産分割協議を経ることなく当該相続人に直接権利移転すると考えられるのですが,財産の特定が不十分だったり,遺産の分配方法が割合で表現がされていると遺産分割が必要になります。

遺産分割協議が必要な場合には,特別受益と寄与分の検討をすることとなります。特別受益に関しては,遺産分割調停及び審判の中で考慮できるのですが,寄与分については,遺産分割調停及び審判とは別に,寄与分を定める処分調停を行う必要がありますので,注意が必要です。

遺言がある場合の相続の流れ

4 遺留分

相続人の遺留分を侵害している内容の遺言になっていれば,遺留分侵害額請求権が発生します。遺留分侵害額請求権は,金銭債権です。したがって,遺留分を侵害している部分を金銭で請求することができます。

遺言がある場合の相続の流れ

5 遺産分割協議や遺留分について争いがある場合

当事者間で,遺産分割協議をしてもまとまらない場合や遺留分について争いがある場合には,家庭裁判所で遺産分割調停を行います。遺産分割調停でも話合いがまとまらない場合には,遺産分割の審判に移行します。遺留分に関しては,家庭裁判所の調停でまとまらない場合には,訴訟を提起する必要があります。

特別受益に関しては,遺産分割調停及び審判で判断されるのですが,寄与分については,寄与分の調停及び審判を別に行います。また,遺留分に関する訴訟においては,寄与分についての判断ができませんので,注意が必要です。

遺言がある場合の相続の流れ

6 不当利得返還請求権

被相続人が生前に重度の認知症であるにもかかわらず,同人の生前に同人名義の口座から多額の金銭が出金されており,特定の相続人の口座に入金されている場合には,法律上の原因なく金銭の移動があるため,不当利得返還請求の問題が発生することもあります。

無料相談ご予約・お問い合わせ

 

ページの上部へ戻る

トップへ戻る

0825116545電話番号リンク 問い合わせバナー