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請求の対象者
1 3つの選択肢
配偶者に不貞行為をされた被害者の方は,配偶者及び配偶者と不貞行為をした不倫相手方に慰謝料請求することができます。請求を行うパターンは,①配偶者のみ,②不倫相手のみ,③配偶者と不倫相手の3つあります。
①から③のパターンがあるのですが,請求可能な総額は一緒です。③のパターンだけ,2倍請求できるわけではありません。
例えば,被害者に生じた損害額が200万円であった場合には,①から③のパターンのいずれであっても,200万円までしか請求はできません。被害者は,200万円の範囲内であれば,配偶者のみに請求してもよいし,不倫相手のみに請求してもよいし,両方に請求してもよいです。
2 求償権との関係
よくあるケースとして,不倫相手のみに請求を行いたいという方がいます。この場合は,不倫相手が金銭を支払えば,不倫相手から配偶者に求償権が生じます。例えば,被害者に200万円の損害が生じたとして,被害者から不倫相手のみに対して200万円を請求したとします。その後,不倫相手と配偶者間の内部的責任割合を5:5と仮定した場合には,不倫相手は,配偶者に対して100万円を求償することができます。
つまり,お金の流れだけに注目すれば,不倫相手から被害者に200万円支払い,配偶者から不倫相手に100万円支払うということになります。不倫相手にのみ請求をする場合には,夫婦の財布が一緒ということが多いので,夫婦の家計に入るお金としては,結論としては100万円ということになります。