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法律相談のタイミング
1 生活が落ち着いてから
ご家族を交通事故で亡くされた方は,悲痛な思いをされています。ある日,突然,交通事故により,ご家族を亡くし,ついさっきまで元気だった故人を思い描くと到底,現実を受けることができません。お通やお葬式などで忙殺され,少し落ち着いたところで,今度は,警察署に呼ばれて話をすることになります。法律的には,相続の問題も発生するので,遺産の分割や税金の処理もしなければなりません。死亡事故のご遺族の心労は計り知れないものがあります。
私は,このような状況にある遺族の方に対して,早急に弁護士に相談をすべきであるとは言えないと思っています。少しだけ,お気持ちや状況が落ち着いてから,弁護士に相談をしに行けばよいでしょう。相談のタイミングを悩まれる方は非常に多いですが,それは仕方のないことです。
2 注意点
ただし,注意して頂きたいのは,交通事故で亡くなった方の相続人の中に,病気や認知症の方が存在し,その症状が悪化している場合には,早めに相談にこられた方がよいかもしれません。というのも,病気や認知症の症状が悪化して,意思疎通ができなくなると,交通事故の交渉や訴訟の委任ができなくなるかもしれないからです。また,相続人間が不仲であり,協力関係が築けない場合も早めに弁護士に相談をした方がよいです。
また,時効の問題もありますので,ここにも注意が必要です。死亡事故の場合は,令和2年4月1日より,死亡日の翌日から起算して5年の消滅時効にかかることになりました(民法724条の2)。ここでも2点注意が必要です。死亡事故に伴い物損があれば,その消滅時効は交通事故日の翌日から起算して3年です(民法724条第1号)。また,自動車損害賠償保障法に基づく,いわゆる被害者請求の消滅時効は死亡日の翌日から起算して3年です(自動車損害賠償保障法19条)。
そこで,被害者の死亡日の翌日から3年以内には,損害賠償請求権を行使すべきとなります。しかし,時効の直前に行動を開始するのは,怖いので,被害者の死亡の日から1年以内を目安に加害者または加害者側保険会社と交渉を開始した方がよいと思われます。
死亡事故の特徴
1 法的問題
死亡事故が生じた場合,その遺族に発生する法律的な問題は,①民事上の損害賠償請求権の発生,②相続の発生,③加害者の刑事責任の3つに整理することができます。
2 民事上の損害賠償請求権
死亡事故の特徴としては,他の交通事故の類型より,損害の内容を確定するため資料が早く集まるという点です。したがって,比較的早い段階で,示談交渉が可能になります。
死亡事故一般で,争点となりやすいのは,死亡慰謝料と死亡逸失利益です。一般論にはなりますが,死亡慰謝料及び死亡逸失利益は,弁護士に依頼して,交渉した方が増加する傾向にあると思っています。
3 相続の発生
死亡事故なので,当然相続が発生します。相続が発生しているため,まずは,戸籍謄本を収集した上で,法定相続人の確定を行い,代表者を定めて,加害者または加害者側の保険会社と交渉することになります。
4 加害者の刑事責任
死亡事故の場合,遺族に加害者に対する処罰感情が強い傾向がありますので,犯罪被害者参加制度の利用を検討することがあります。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼するメリットは,死亡事故に際して生じる法的な問題を一括して解決できるという点です。当事務所では,死亡事故による民事上の損害賠償請求権に関する示談交渉,相続の発生による遺産分割協議書の作成,刑事事件に関する犯罪被害者参加制度について対応が可能ですので,死亡事故の遺族の方でお困りであれば,お気軽にご相談下さい。