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1 寄与分の計算方法
寄与分とは,共同相続人が,被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたことである。
寄与分は,次のように計算します。
- みなし相続財産=相続開始時の遺産の評価額の合計-寄与分の額
- 一応の相続分=みなし相続財産×各当事者の相続分
- 具体的相続分
寄与分がある者 一応の相続分+寄与分の額
寄与分のない者 一応の相続分と同額 - 具体的相続分率=具体的相続分÷具体的相続分の合計
- 具体的取得分額=遺産分割時の遺産評価額×具体的相続分率
2 寄与行為の類型
寄与行為の態様は様々なものがありますが,一般的には,以下のように分類されています。
(1)家業従事型
被相続人の事業に関する労務の提供を行った場合です。特別の寄与と評価されるための要件は,①特別の貢献,②無償性,③継続性,④専従性と言われています。各要件を充足する必要があります。
(2)財産給付型
被相続人の事業に関する財産上の給付を行った場合です。
(3)療養看護型
被相続人の療養看護を行った場合です。特別の寄与と評価されるための要件は,①療養看護に必要性,②特別の貢献,③無償性,④継続性,⑤専従性と言われています。各要件を充足する必要があります。
被相続人が介護保険における要介護度2以上の状態が目安になるのではないかと考えられます。
(4)扶養型
被相続人の扶養を行った場合です。相続人が被相続人の生活費などの援助を行っていたため,被相続人の財産を維持していた場合には,寄与分が認められやすくなります。
(5)財産管理型
被相続人の財産を管理することによって財産の維持形成に寄与した場合です。
不動産の賃貸管理が典型例です。特別の寄与と評価されるための要件は,①財産管理の必要性,②特別の貢献,③無償性,④継続性です。
3 手続
寄与分については,遺産分割調停とは別に,寄与分を定める処分調停を行います。遺産分割調停の手続きの際に,寄与分が問題になった場合には,寄与分を定める処分調停を申立てるようにしましょう。
また,寄与分を定める処分調停のみを申立てていた場合に,この調停が不成立になった場合には,審判手続に移行するのですが,その際には,遺産分割審判の申立てをしないと不適法として却下されますので,注意しましょう。