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証拠の確認
弁護士が依頼を受ける以上,裁判になる可能性を視野に入れて,証拠の内容を確認します。証拠の内容を確認した上で今ある証拠を補強できるかどうかの確認もします。中には,弁護士会照会を利用しなければ,取得できない証拠もあります。また,一般の方には,意味の無いと思われる証拠であっても,証拠の構造から価値を見出せる証拠があるかもしれません。
このように,弁護士を通じてでしか取得できない証拠があったり,証拠構造上,他の証拠と上手に組み合わせて利用すれば証拠価値が生じる証拠などがありますので,弁護士に依頼した方がよい場合があります。
相手方に対する本気度
弁護士は裁判になった場合に慰謝料請求が認容される可能性がある否かを確認するため,ある程度のフィルタリングがされることになります。これは,慰謝料請求を受ける側から見れば,慰謝料請求者に弁護士が付いたということは,ある程度の証拠があるのだろうと推測させる事実になります。
つまり,慰謝料請求者に弁護士が付いている以上,場合によっては裁判になる可能性があるということを,慰謝料請求を受けた側に認識させ,その慰謝料請求に対する本気度を示すことができます。慰謝料請求を受けた側は,弁護士を付けていないから,無視してもよいだろうという方もいらっしゃるので,このような場合は弁護士を付けた方がよいです。
精神的負担の軽減
普段,仕事や育児に追われている方が,慰謝料請求の交渉を行うことは,精神的な負担がとても大きいことがあります。また,インターネットなどを通じて,ある程度のことを自分で調べることができても,実際の交渉をしてみると分からないことがたくさんあるという方もいらっしゃいます。示談書を作成するにしても,インターネット上に落ちている一般的な文面で大丈夫なのか,慰謝料請求以外の部分について,どのような合意をすべきなのか分からないということがあります。
このように,普段の生活状況や分からないことを抱えたまま交渉をすることが,精神的に負担になるということも多いので弁護士を付けた方がよい場合があります。
行政書士や司法書士との違い
行政書士は,紛争性のある法律事務に介入することはできません。したがって,そもそも,慰謝料請求に関する法律事務は行うことは適切でありません。また,認定司法書士は,140万円以下の民事事件の相談・交渉・和解をする権限に限定されており,訴訟を代理できるのは簡易裁判所に限定されています。
一般的に,不倫・不貞の訴訟は140万円以上の請求額になることが多い上,定型的な紛争処理でなく,個別的な紛争処理が必要なので,140万円以下の訴額でも,地裁で行うことが適切です。
このような観点から,不倫・不貞の慰謝料請求に関する法律事務は,弁護士に依頼するのが最も適切だと言えます。